コラム視覚と聴覚の関係
~目のケアの大事さについて~
はじめに
近年パソコンやスマートフォンを使用する機会が多くなってきていることから、目に関する悩みは増加傾向にあると考えられます。「毎日しっかり寝ているがまぶたが重い」「ショボショボする」「肩こりや頭痛があり仕事に集中できない」などの症状を診察時に患者様が感じられていることを聞いたこともあると思います。
目の疲れが蓄積していくことでピントが合わなくなる、眼精疲労を感じるなど、日々の暮らしに支障をきたす場合もあります。
目が疲れやすい方の例として、デジタルデバイスの長時間使用による“VDT症候群”の方、メガネやコンタクトなど視力を補助する医療機器を装用する方が挙げられますが、実は聴覚障がい者の方も目が疲れやすい傾向にあります。この記事では、目のお悩みにもつながる「視覚と聴覚」の関係についてお伝えします。
視覚と聴覚の関係
私たちは五感を使いながら日々過ごしています。
五感を通じ脳内に様々な情報を取得することで、考えたり判断したりといったことを行っています。その際、主に手段として使用している感覚器官は聴覚と視覚です。
しかし、聴覚障がい者は健聴者と比べ耳にハンデがある分、その分を視覚で補い、情報取得や認識をしています。そのため、日常生活で特に目を酷使している方だと考えられます。
聴覚障がい者の目の使い方と視野空間
聴覚障がい者は耳からの情報が得られないため、会話は手話や筆談で行われますが、これら以外にも読唇や口話で相手の伝えたいことを読み取ります。
健聴者は相手の手の動きに注目することが多いのに比べ、聴覚障がい者は相手の口や表情など、より細かい動きに意識が集中しているようです。※ (1)
またネコを使った最新の研究において、聴覚障がいがある場合本来聴覚をつかさどる脳細胞が視覚に割り当てられていることにより周辺視野の視覚が優れていることがわかりました。※ (2)
カナダにあるウェスタンオンタリオ大学のロンバー氏を率いる研究チームは、生まれつき耳の聴こえないネコでは耳の聴こえるネコよりも優れた周辺視覚と動体視力を持つということを確認しました。このことは、聴覚障がいを持つ、ヒトの視力検査でも見られた現象だそうです。※(2)
耳が聞こえない(聴覚を失っている)動物では、脳内の聴覚をつかさどる部分を無駄にすることなく他の感覚機能の情報処理に使用している可能性が考えられます。
このように聴覚障がい者は健聴者よりも、より視覚を使って情報を取得するため、目を酷使することになり、眼精疲労や肩こりなど体の不調が続き、日常生活に支障をきたしてしまうことがあるのです。
手軽にできる目のケア
人が情報取得する際、目からどのように情報が入り、目を酷使するとどう影響が出るか説明します。
人がものを見るときには、目に入ってきた映像を網膜に映し出します。
網膜には「ロドプシン」というたんぱく質が存在し、このロドプシンが分解されることにより発生する電気信号が脳に伝わり、「ものが見える」と感じます。
ロドプシンは再合成と分解を繰り返しますが、目を酷使することで再合成速度が追いつかなくなります。するとしょぼついたり見づらくなるなど疲れとして感じるようになります。
そこで疲れ目になりにくく、快適に過ごせるよう、目のケアが大切になってきます。
取り入れやすい目のケアの1つとして、「サプリメント」があります。
よく「処方されている薬と一緒に飲んでも問題ないか」というお声をいただきます。
サプリメントはあくまでも必要な栄養素を補う食品ですので、処方される医薬品との組み合わせが気になる場合は薬剤師の方にご確認いただくことで、患者様により安心してお飲みいただけます。
こちらでは目に良い栄養素の1つで目を守る成分といわれている「アントシアニン」をご紹介します。
目を守る成分:アントシアニン

アントシアニンとは、ポリフェノールの一種で、青紫色の天然色素です。
配糖体である「アントシアニジン」と「糖」で構成されており、抗酸化力が非常に強いといわれていて、植物が紫外線などの有害な光によるダメージから自らの体を守るという働きがあります。ヒトは太陽からの紫外線を受けると、メラニンという色素によって肌を黒くすることで体内に紫外線が入ることを防ぎ、細胞が傷つかないように守っていますが、植物も同様にアントシアニンという色素によって紫外線などから実(身)を守っているのです。
アントシアニン(Anthocyanin)という成分名は、ギリシャ語のanthos=「花」とcyanos=「青」が語源で、「花の青色成分」という意味を表しますが、青色だけではなく、赤色、紫色など幅広い色調を持っています。また、近年ではその抗酸化力に注目が集まり、視機能の向上、肝機能の改善、メタボリックシンドロームや血糖値上昇の抑制効果など、アントシアニンがもたらす様々な生理機能や効果が明らかになり、広く利用されるようになってきています。※ (3)
そして約150種類以上のブルーベリーのうち、北欧産野生種ビルベリーは一般栽培種のブルーベリーと比較すると約5倍のアントシアニンを含んでいるといわれています。
ビルベリー由来「アントシアニン」は、網膜に存在するたんぱく質「ロドプシン」の再合成を手助けする役割があり、再合成の遅れによる目のしょぼつきや、かすみ、ぼやけを予防・改善する効果があると期待されています。※ (4)
まとめ
いかがでしたでしょうか。パソコンやスマートフォンを使用する機会が近年多くなっていると考えられ、症状が重くなると眼精疲労など生活に支障をきたす場合もあります。
また、聴覚障がい者は健聴者と比べ耳にハンデがある分視覚を使い情報取得や認識をしています。そのため日常生活で特に目を酷使し疲れやすくなると考えられます。
目は大事な感覚器ですので今回手軽にできる疲労予防のケアとしてサプリメントを提案させていただきました。
少しでも皆さまの手助けになれば幸いです。
目の総合健康企業として今後も皆さまのお役に立てる情報を発信してまいります。
参考文献
- (1)深間内文彦,西岡知之,松田哲也,松島英介,生田目美紀 “聴覚障害における視覚情報処理特性
― アイマーク・レコーダーによる眼球運動の解析 ―”
筑波技術大学テクノレポート Vol.14 Mar.2007 - (2)Lomber, Stephen G., M. Alex Meredith, and Andrej Kral. “Cross-modal plasticity in specific auditory cortices underlies visual compensations in the deaf.”
Nature neuroscience 13.11 (2010): 1421. - (3)わかさの秘密”アントシアニン”2020/11/04
https://himitsu.wakasa.jp/contents/anthocyanin/?soycms_pathinfo=seibun%2Fanthocyanin%2F - (4)わかさの秘密”ビルベリー”2020/08/28
https://himitsu.wakasa.jp/contents/bilberry/?soycms_pathinfo=seibun%2Fbilberry%2F