コラム免疫力とサプリメントの関係
~新型コロナウイルス予防に対しての有用成分~

猛威を振るう新型コロナウイルス

2020年に世界中を震撼させている「新型コロナウイルス」。冬の季節になると毎年インフルエンザも流行するため、感染症の予防には十分に気をつけなくてはなりません。
医療機関で受診する患者さん、そして患者さんの診察にあたる医師や看護師の皆様も、例年になく不安を感じているのではないでしょうか?

この記事では、感染症に関する医院様の「ちょっと困った」や、患者さんの「疑問・質問・お悩み」を解決できる情報をお届けします。

医者のイラスト

まずはおさらい!感染症に負けないために大事なことは?

実際に、新型コロナウイルスに関して一般の方が感じる疑問やお悩みには、

  • ・「手洗いうがい、マスク以外の予防法はあるの?」
  • ・「どれだけ予防しても不安だ」
  • ・「食事から予防って出来るの?」
など、予防についてのお悩みがとても多いのではないでしょうか。

このような患者さんの疑問にどうお答えすべきか。
いくつかの情報をご紹介していきますので、参考になれば幸いです。

内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室によると、新型コロナウイルスに感染しにくくするために大事なポイントは以下の5点とされています。

  1. 密集・密接・密室を避ける
  2. 安全な距離を保つ
  3. こまめに手を洗う
  4. 室内換気と咳エチケット
  5. 接触確認アプリをインストール

新型コロナウイルスの感染を防ぐためにこれらの対策をとることはもちろんですが、万が一ウイルスに近づいてしまった時に備えて、体の免疫力を高めておくことが大切です。
体温を上げることにより、身体の免疫力が高まることはよく知られていますが、栄養素の摂取やサプリメントの活用についてはあまり一般的でないため、この後に免疫に関係する栄養素についてご紹介いたします。

サプリメントの有用性

サプリメントに用いられる機能性成分の中には、健康に毎日を過ごすための丈夫な体づくりをサポートしてくれるものがあり「ビタミンD、ビタミンC、亜鉛、エキナセア」などには有用性が示されています。したがって、これらの成分は新型コロナウイルス対策、感染症予防に有用である可能性が期待できます。

免疫力を高め丈夫な体づくりに欠かせない「ビタミンⅮ」

ビタミンDは、脂溶性のビタミンで、カルシウムの吸収を高め骨への沈着を助ける働きがあります。
また、抗菌物質を分泌することで免疫力を高めることも分かっており、丈夫な体づくりには欠かせない栄養素です。

・2020年7月に、イギリスのニューカッスル大学の研究チームによる研究論文では、新型コロナウイルスで入院した患者のうち、ビタミンDの血中濃度が低い患者で新型コロナウイルスの重症度が高かったと報告されています。
新型コロナウイルスの入院患者134人を対象に、ビタミンD欠乏症の有病率と血中ビタミンD量、新型コロナウイルスの重症度と死亡率との関係を分析したところ、新型コロナウイルスの重症度が高く集中治療室に入っていた患者では、一般病棟に入院していた軽度の症例の患者よりビタミンDが欠乏していることがわかりました。
実際の解析結果は、血中ビタミンDが充足していた(50nmol/L)患者の割合が、一般病棟では39.1%、集中治療室では19%でした(p = 0.02)。
したがって、新型コロナウイルスの重症化リスクとして、ビタミンD欠乏が関係しているといえそうです。※(1)

風邪をひきにくくしてくれる「ビタミンC」

ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあります。抗酸化作用が高く、活性酸素から細胞を守り、他にもストレスに対する抵抗力を高めるなど、様々な働きがあります。
そのため、不足すると疲れやすくなったり免疫力が低下して風邪や感染症にかかりやすくなったりすることが分かっています。
ビタミンCは、ビタミンDのように新型コロナウイルスとの直接的な関連を調べた研究結果はまだ報告されていませんが、ウイルスなどによる感染症の経路のひとつはのどや鼻などの上気道の粘膜であることから、こういった部位に対するビタミンCの研究結果を以下にご紹介します。

・スウェーデンの研究チームにより、ビタミンC摂取による上気道感染症予防効果が発表されています。
この試験では、試験に参加した女性で食品からのビタミンC高摂取群(> 200 mg / d)は、低摂取群(< 100 mg / d)と比較して上気道感染症の発症比率が低い(0.69(95%CI 0.49-0.98))ことがわかりました。ビタミンC摂取によって、気道感染症(URTI)の感染リスクを減らす役割があると言えそうです。肺炎などを生じることがある新型コロナウイルスでは、ビタミンCサプリメントによる補完的な作用が期待されます。※(2)

代謝に欠かせない「亜鉛」

亜鉛は牡蠣などの魚介類や、肉類といった動物性食品に含まれるミネラルで、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立ちます。
また、傷ついた細胞を修復する働きがある他、免疫細胞の働きを活発にして、細菌やウイルスに負けない体づくりをサポートしてくれます。

・亜鉛サプリメントの利用により亜鉛が充足されていることは、新型コロナウイルスの予防、および下痢や下気道炎といった新型コロナウイルスの症状を軽減させる可能性があります。※(2)

欧州臨床微生物感染症学会(ESCMID)のCOVID-19会議において、血中の亜鉛濃度が低い患者は新型コロナウイルス罹患時の生存率が低下したと報告されています。
ただし、この研究に関してはまだ研究、調査途中のようです。
亜鉛自体は体にとって必要なミネラルであるため、過剰摂取に注意して食事やサプリメントで摂取するのが良いでしょう。

感染症対策に「エキナセア」

エキナセアは、北米を原産とするハーブの一種で、古くから傷や病気の治療薬として用いられてきました。
免疫機能を高める働きや抗炎症作用があり、風邪や感染症の予防に利用されています。

・近年の研究から、エキナセアの抽出物は、抗菌および抗ウイルス作用を有することが分かっています。さらに、エキナセア抽出物は、マクロファージの食作用を促進させる働きがあることが分かりました。このことから、エキナセア抽出物には、抗菌作用および免疫力を高める働きがあると考えられています。※(3)
・エキナセアの摂取は、風邪やインフルエンザなどの急性気道感染症の期間と重症度を低下させる可能性があると示唆されています。しかし、新型コロナウイルスに対して効果があるか否かに関しては、未だ報告がないため、さらなる研究が期待されます。※(4)。

まとめ

いかがでしたでしょうか。マスク着用や手洗いといった基本的な感染予防対策と共に、免疫力を高める事は健康的な生活をおくるために不可欠です。
栄養の摂取やサプリメントの活用といった情報で、少しでも患者さんのお悩みや不安を和らげる手助けになれば幸いです。
わかさ生活ではこれからも医療従事者の皆様にお役立ていただける健康情報を発信してまいります。

参考文献

  1. (1)Grigorios Panagiotou et al., Low serum 25-hydroxyvitamin D (25[OH]D) levels in patients hospitalized with COVID-19 are associated with greater disease severity, Clin Endocrinol (Oxf). in press.
  2. (2)Grigorios Panagiotou et al., Low serum 25-hydroxyvitamin D (25[OH]D) levels in patients hospitalized with COVID-19 are associated with greater disease severity, Clin Endocrinol (Oxf). in press.
  3. (3)わかさの秘密
  4. (4)Monique Aucoin et al., The effect of Echinacea spp. on the prevention or treatment of COVID-19 and other respiratory tract infections in humans: A rapid review. Adv Integr Med. 7(4):203-217. 2020.
 

外部リンク

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